2011年→2012年、シンガポール

この旅にはシンガポール航空を利用した。深夜にチェンナイを出た飛行機は早朝にシンガポールに着いた。ここのどこかにも書いたが、私の経験した初の海外は、中学2年生のときにホームステイを目的に訪れたシンガポールである。実に20年振りに(ああ、もう20年も前なのね!)、シンガポールに足を踏み入れることを楽しみにしていた。日本への便は昼過ぎなので、数時間は遊べる。

外はまだ暗い早朝。空港からMRTに乗って街の中心を目指した。私が中学生の頃は、MRTは空港まで届いていなかったはずだし、2本だけだった路線はやたらと増殖している。街の中心部であるQutram Parkに着き駅から外に出ると、高層ビルの間の空が白み始めていた。マーライオンとの20年振りの再会を祝す。ふと気が付くと、彼の向かい側のビルが屋上に船を載せていた。ああ、センスの欠片も感じられない。

お腹も空いたので、とりあえず美味しいものを探しにChinatownまで歩いた。世界各国どんな街でも、Chinatownに行けば、高確率で美味しいものにありつくことができる。小さな食堂が集まったChinatown Complexというビルは、朝からそこそこの賑わいを見せていた。奴らの胃袋は無敵だ。早くも行列ができていたのは、「牛車水著名糯米飯」。おじいさん二人が軽快に客を捌いていく。おこわのようで美味。そういえば、このビルには昔来たことがあるな。そのときとほとんど変わっていない気がする。

お腹がいっぱいになり、Tigerビールも回ったところで、Chinatownを散歩した。街並みは、お洒落に変わっているし、知らない奇妙な高層ビルが目立っていたけれど、根本的なエネルギーはあの時のままのようだ。例えば、中国語の看板の向かいにあるタミル系のヒンドゥー寺院。こんな雑多な猥雑さがこの国の強さの秘訣だと思う。次の20年、この街はどう変わっていくのだろう。疲れと眠気で鈍くなった頭でぼんやりとそんなことを考えながら、この旅を締めくくった。また、いつか。