2011年→2012年、インド、バックウォーター、その2(アレッピーからコッタヤムまで)。

ケーララのバックウォーターといえば、コーラム~アレッピーのクルーズが最も有名であるが、それだけでは面白くないだろう。アレッピーからは旅行者向けのビレッジツアー等も多いのだが、今回は「ローカル」に拘って、地元民用のボートで内陸のコッタヤムという街に行ってみることにした。かかる旅費は、前日のクルーズの10分の1以下である。

アレッピーの船着場に朝9時頃に着いて、ボートの時間を確認する。1時間程あったので、近くの安食堂でゆっくり朝飯を取る。少し散歩をしてみる。ここでも目に付くのは、街を彩る鮮やかな赤い色。

船着場に戻り、ボートが大量の人を吐き出していくのを眺めていると、自分の乗る船だったことに気付いて慌てて乗り込んだ。あっと言う間に満席になり、すぐに出港する。設備は古いが、ボロいというほどのものではない。昨日のクルーズとは違い、このコースは地元の人向けなので、人が頻繁に乗り降りする。街から離れるにつれ、船内の乗客はどんどん少なくなった。船の中も外の景色も生活の匂いが強烈にして、旅行者はそれを静かに見つめる。船は進む。

景色は移り変わり、鮮やかな緑を湛えた田んぼが広がるようになる。水路は細く狭くなり、手動の跳ね橋の下をいくつも潜って船は進む。すっかり空いた船内で、他の乗客は居眠りをしているけれど、僕は元気にカメラを構える。コッタヤムまで3時間程の船旅。特別なにか凄いものを見たわけではないのだけれど、とても素敵な時間を過ごすことができた。前日のクルーズよりも断然こちらの旅をお勧めしたい。

そして、コッタヤムから列車に乗り、いよいよ陸路移動最後の目的地フォート・コチへ。南インドの旅もいよいよ大詰めである。