2010年、イラン、シーラーズ。

イスファハーンからバスでさらに南に6時間程走る。イランの古都、シーラーズ。近郊のペルセポリスが紀元前500年からの歴史を持ち、たいへん有名ではあるが、遺跡にはさして興味はないのでそちらには訪れず、相も変わらず街歩きをぷらぷらとしていたのであるが、一大観光地のイスファハーンよりも素朴な田舎の地方都市といった感じで雰囲気がよい。迷路のようなスークを歩いていれば、あちらこちらから声がかかり、写真を撮れ写真を撮れとせがみ、軽い立ち話をして去っていく。人の良さに関しては、この旅で回った街の中でここがベストだった。

マスジェドも、イスファハーンに比べるともちろん小振りにはなるが、花の模様があしらわれているなど、なにかと芸が細かい。また、壁一面ステンドグラスが有名な、ナシ・アル・モルク・モスク。日が入ってくれば美しいとの評判だったので、早起きして行ったのだが、残念ながらこの日は曇りだったのでいまいち迫力に欠けた。

そして、ここでのハイライトは、何と言ってもタマネギ型の聖廟で、中に入れば聖職者の棺が納められているが、異教徒にとっては何よりギラギラに光り輝いた内面に圧倒される。最も大きく歴史の古いシャー・チェラーグ聖廟は写真すら撮れない厳戒態勢だが、その周りの小さな聖廟は異教徒でも立ち入りができる。このタマネギ&ギラギラの聖廟スタイルはこの街でしか見なかったのだが、シーラーズ特有のものなのだろうか。お祈りをしている人がいれば、遊んでいる子供もいる、非常に自由な空間。

夜になればシーラーズ城の周囲で野外チャイハネが開業して、嘘みたいに安い値段で水タバコが吸える。夜の街を徘徊する現地の若者と水タバコを囲んで楽しく談笑しながら夜が更ける。この街でゆっくり2泊した後、砂漠の街、ヤズドに向かった。